真夏の奇跡!大岩魚in芦ノ湖   1997年8月14日   アングラー:塩谷 敦   (この記事はAnglingの97年11月号に掲載されました。)


真夏真っ盛りの芦ノ湖。90ヤードのディープトローリング。ボート右舷側のロッドが突然グーンと大きな弧を描いた。真夏の芦ノ湖の奇跡!その瞬間である。97年8月14日4時30分、箱根湾の鈴木ボートから出船。当日の気象状況は、気温19度、水温21度、曇りのち霧雨、東の強風で時季外れのオホーツク海高気圧の影響を受け、お盆時期にしてはたいへん涼しい1日だった。早朝は50〜70ヤードで亀ヶ崎方面から攻めるが6時までノーヒット。タナを80〜100ヤードに変えて湖のど真ん中を流し、直後に良型レインボーが立て続けに3連続ヒット。7時に朝食を済ませブラウン狙いで90〜100ヤードにタナをセットしマリーナ桟橋沖から再びトローリング開始。この頃よりにわかに濃霧が発生し始めた。まず龍宮殿下で41cmの美しいピンシャンブラウンをゲットした。濃霧は視界10m前後と一段と深くなる霧のなか進路を南南西にとり進んでいると今度は右舷側ロッド(90ヤード、ルアーはミナモトナブラ)が突然グーンと大きな弧を描いた。ロッドの動きから「たぶんブラックバスだろう」と思い最初はいい加減にラインを巻いていたが残り70ヤード付近からゴンゴンという重いファイトが手に伝わってきた。「ん!?バスにしては元気が良すぎる、しかしブラウントラウトより動きが鈍い。言うならば中禅寺湖のレイクトラウトのファイトだ」等と考えながら、湖底に向かって力強く引きまくる何者かと戦いながら、レッドコアラインを丁寧に巻いた。残りリーダー10mの状態でもラインはほぼ真下を向いたままで依然魚は見えない。時々ドラグ調整による対応を繰り返すがヤケに重い。8時22分なんとかボート際に魚を寄せ湖面を覗くと大仰天!ナント岩魚だ!しかもデカイ。「真夏の8月だというのに。銀山湖じゃあるまいし岩魚が・・・。私の見間違いか?本当であれば晴天の霹靂だ!真夏の奇跡だ!」と心の中で呟きながら、が慎重に魚とのやりとりを繰り返す。水面に顔を出させること2回、その後タイミングを見て無事ランディングに成功。見るとまさしく岩魚である。が信じられず前後、左右上下からシゲシゲと何度も眺め観察したが、やはり確かに岩魚であった。岩魚独特の黄金模様もあるし、胸・腹・尻ビレには白いフチもある。顔も精悍で若干顎がシャクレ雄のようだったが、腹回りが太く雌のようでもあった。計測すると46.5cm、重量1.2kg。徐々に釣り上げた魚の希少性と自分自身のラッキーさに喜びを感じられる状態となった。岩魚はリリースをしたかったが、約10mの水深から釣りあげた末に、身体検査、写真撮影と過密スケジュールを極めたためボートの水槽内で弱ってしまった。残念である。「・・・かくして魚の命は終わった。釣り人もやがて死ぬ。しかし河は眠らない」故開高健氏の名言を思い浮かべ、大岩魚は記念に剥製にし、幾久しく我が家の家宝にすることにした。
  
<タックル>
ロッド:スミストラウトトロールFG100TRL
リール:ABU7500C3
ライン:レッドコアライン18lb & リーダー8lb×10m
ルアー:ミナモトナブラ